特商法見直しの中間取りまとめ、広告と判別しにくい表示の禁止や明示を検討
消費者庁の検討会が中間取りまとめで、広告と判別しにくい表示の禁止や明示、ダークパターン規律を提案。意見募集は10月31日に終了。中間取りまとめでのアフィリエイトの扱いも紹介します。
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検討会の中間取りまとめ:広告と分かる表示を検討
消費者庁の「デジタル取引・特定商取引法等検討会」は2026年9月10日、中間取りまとめを取りまとめました(9月10日付)。インターネット取引での意思決定を誘導する表示への対応が柱の一つで、「実際は広告であるにもかかわらず広告であることが判別し難い表示」の禁止、または広告である旨の明示を求める方向が示されています。この中間取りまとめへの意見募集は、2026年9月16日から10月31日まで行われ、すでに締め切られました。
アフィリエイトやブログ運営者にとって、すぐに義務が変わるわけではありません。ただ、見直しの方向性を知っておくと、PR表記や比較記事の作り方を考える材料になります。以下は中間取りまとめの記述をもとにした整理です。法律として決まった内容ではない点に注意してください。
広告場面の規律:誤認を招く表示と、攻撃的な手法
中間取りまとめは、オンライン上の表示やUI(画面設計)が高度化し、消費者が自分の意思決定の過程を十分に認識しないまま契約に誘導される手法が出ていると指摘しています。国際的に「ダークパターン」と呼ばれる手法です。具体的には、「お試し」などの表示で1回限りの購入のように見せながら、実際は定期購入が条件になっている例を挙げています。
対応としては、インターネット上で広告をする場面で、誤認を招く、または威迫・迷惑・不安を覚えさせるなどして、消費者の意に反して申込みをさせようとする表示・UIに対する規律を設けるべきだとしています。具体的な規律対象は今後さらに検討するとしたうえで、例として次のようなものを挙げています。
- 誤認を招く手法:支払金額(違約金等を含む)、分量、契約期間など契約の核心的な要素について、一般的な消費者が通常の注意をもって見た場合に、その内容を正確かつ容易に認識できない虚偽・不明瞭な表示
- 誤認を招く手法:口コミ、利用状況、在庫情報、タイムセールなどについて、内容が虚偽の表示
- 攻撃的な手法:契約の申込みに関し、操作の反復や威迫的な文言などを用いて、消費者を威迫し、迷惑を覚えさせ、または不安を生じさせるような仕方で、申込み・締結をさせようとする表示・UI(検討会では、単なる反復や選択肢の提示自体を問題とするのではなく、対象となる「操作の反復」の内容や程度を明確化すべきとの指摘もありました)
具体的な射程や判断基準は、下位法令やガイドラインで、違法なパターン(ブラックリスト)や適法なパターンを示す形で明確にすべきだとされています。適正な表示までを萎縮させない配慮も書かれています。
「広告と分かる表示」で何が求められるのか
アフィリエイトに近いのは、商業性の明示の部分です。中間取りまとめは、消費者が表示の商業的性質を認識できるようにする観点から、広告であることを判別できることが重要だとし、実際は広告なのに広告と判別しにくい表示を禁止する、または一見して広告と分からない表示には広告である旨の明示を求めるべきだとしています。これらに違反した場合は、行政規律による是正を基本とすべきだとされています。
ただし、検討会では意見が分かれています。景品表示法のステルスマーケティング規制との関係を踏まえ、あらゆる広告に一律に「広告」と書くことを義務づけるのは過大だという指摘がありました。他方で、ページやリンクの冒頭に「広告」「勧誘」などと表示するのは容易でコストも大きくないため、全てに義務づけるべきだという指摘もありました。このため、具体的な規律の方法は、事業活動への影響も踏まえ、引き続き検討するとされています。
アフィリエイトは連鎖販売取引に当たるのか
中間取りまとめは、いわゆる「後出しマルチ」への対応の説明の中で、アフィリエイトにも触れています。商品販売後の紹介特典、キャッシュバック、アフィリエイトなどの通常の販促活動は、現行法上、基本的には連鎖販売取引に該当しないものとして整理することが可能だ、という趣旨です。連鎖販売取引の「特定利益」は、自分以外の者が販売側の加入者となる際に支払った取引料や購入代金などを指します。取引をするかどうかの意思決定で、社会通念上、判断要素となりうる程度のものである必要がある、とされています。
これは通常の販促活動を前提とした整理で、個別の仕組みがどう扱われるかを保証するものではありません。迷う場合は、消費者庁の特定商取引法ガイドや専門家に確認してください。
運営者がいま見直しておきたいこと
中間取りまとめの内容が、そのままの形で法律になるとは限りません。それでも、次の点は見直しておく価値があります。
- 記事の冒頭や、リンク・ボタンの近くで、広告であること(PR・プロモーション)が一目で分かるか
- 「お試し」「いつでも解約可能」などの表現が、定期購入の条件や解約条件を正確に伝えているか
- 口コミ・在庫・タイムセール(期間限定)表示が、事実にもとづいているか
- 誤認を招く、または不安をあおって申込みを急かす文言を使っていないか
ここからは筆者の見方です。筆者は、今回の方向性の大きな意味は、「表示のうまさ」でなく「消費者がその表示をどう受け取るか」に規制の焦点が移っている点にあると考えます。定期購入や比較記事で、条件を小さく書いたり、広告であることを目立たなくしたりする運用は、将来的にリスクが高まるでしょう。広告と明示することは、検討会でも「容易でコストも大きくない」との指摘が出ていた対応です。上の見直しのチェックも、筆者の考えでは、現行ルールの下でも有効です。
中間取りまとめは、おわりに、消費者庁が更なる検討を行い、必要な制度整備の実現を早期に図るべきだとしています。今後は消費者庁による制度整備の具体化が焦点になります。検討会の資料や議事録は更新されることがあるので、消費者庁のページを確認してください。
出典
2026年11月6日時点の情報です。
本記事は情報提供を目的としており、収益を保証するものではありません。法律・税務に関する内容は一般的な情報であり、個別の判断は弁護士・税理士などの専門家や公的機関の最新情報でご確認ください。「筆者の見解」は一つの考え方です。